■日本で古くから伝わる大切な行事「お食い初め」の由来と意味
日本の伝統的な祝い事であるお食い初めは、古くは平安時代から行われてきました。現代のお食い初めとは様式が異なり、生まれて50日目に「五十日祝い(いのかのいわい)」といして行われ、重湯に入れられた「餅」を準備し、口に含ませることでお祝いをしていたそうです。
その後、時代と共に料理や作法が変化して、乳歯が生え始める100日目に初めて箸を使って食事の真似をする、現代のお食い初めのかたちになったとされています。
様式は変わっても、赤ちゃんが無事に生まれ育ったことへの感謝と生涯食べることに困らないようにとの意味を込めて行われることに変わりはありません。いつの時代でも、赤ちゃんの健やかな成長を願う親心は同じですね。
■「お食い初め」料理や作法ひとつひとつに込められた意味とは?
お食い初めで準備されるお祝いの御膳には様々な料理が並びます。なんとなく調べてそれらしいものを選びがちですが、その料理全てに赤ちゃんを想う大切な意味が込められています。地域やご家庭によって献立は様々ですが、ここでは一般的なお食い初めの料理とその意味についてご紹介します!
●尾頭付きの焼き魚
古くから神様への献物として使われてきた「魚」は、お食い初めに限らずお祝いの席には欠かせない料理ですよね。身を切り分けられていない「尾頭付きの魚」は、頭から尾まで食べることでひとつのことを初めから終わりまで全うするという意味が込められており、とても縁起が良いものとされています。
中でも「鯛の尾頭付き」は特別な意味をもっていて、めでたいという言葉の語呂合わせで用いられているだけではなく、その栄養価の高さや希少価値からくる高級感、食膳を彩る鮮やかな赤色など、様々な意味からお祝いの場に相応わしいと選ばれてきました。
●赤飯
「赤飯」も魚と同じように、お祝いの席では必ず並ぶ料理ですよね。古くから赤い色には邪気をはらう力があると信じられており、神様への献物として赤米が使われてきました。この風習が残り、現代では白いお米を小豆で赤く色付けした赤飯が食べられています。
また、赤飯に飾られる南天の葉は難が転じるという意味が込められています。これらのことから、お食い初めでは、赤ちゃんが病気や災難にあうことなく過ごせるよう願って赤飯を食べさせているのでしょう。
●お吸い物
お食い初めに並ぶ「お吸い物」には吸う力が強くなりますようにという意味が込められていますが、使われている具材にも様々な意味があります。
はまぐりはぴったりと対になる二枚貝のような伴侶が見つかりますようにと良縁を願い、海老や鯛は長寿を願って用いられています。地域の風習によっても具材は変わりますが、赤ちゃんへの願いを込めて選ぶのもよいでしょう。
●酢の物・香の物
おせち料理のひとつとしても有名な「紅白なます」は、お食い初めの御膳にも並べられます。細かく切り揃えられたにんじんの赤色と大根の白色は、縁起ものである紅白の水引を意味しています。他にも、「多幸」との語呂合わせで「タコの酢の物」を並べるご家庭も多くあります。タコは八方に手足が伸びることから、八方へ運が広がっていくようにという意味もあります。
香の物も地域によって具材は様々ですが、根を真っ直ぐにおろす根菜は根強く生きるという意味が込められており、赤ちゃんが強い子に育つよう願ってお食い初めで使われることが多いです。
●煮物
お食い初めで作られる煮物の具材に決まりはありませんが、それぞれに赤ちゃんを想った意味があります。穴が開いた「れんこん」は先を見通し将来を明るく過ごせるように、真っ直ぐに育つ「たけのこ」はしっかりと健康に成長するように、子芋がたくさん実る「里芋」は子宝に恵まれるようにと、ひとつひとつの具材がそれぞれに意味をもっています。
また「炊き合わせ」は「多喜合わせ」とかけて多くの喜びを願う、まさにお食い初めに相応わしい縁起の良い料理と言えるでしょう。
歯固め石や食器については、こちらで詳しくご紹介をしています。ぜひご参考ください。
■意味を理解して愛を深めよう!一度きりの大切な「お食い初め」
お食い初めにまつわる意味をご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?「決まりごとだから」と、ただなんとなく準備をしてしまいがちですが、そのひとつひとつに隠された意味を知ると、より愛情が深まって思い出深い行事となりますよね。
たくさんの願いを込めて、赤ちゃんの健やかな成長をお祝いしましょう!