■お参りとは
お寺や神社を訪れて、神様や仏様そしてご先祖様を拝むことを「おまいり」と言います。「おまいり」と読む漢字は2種類あり、実は「お参り」と書くものはお寺での仏様へのお祈り、「お詣り」と書くものは神社での神様へのお祈りを意味しています。
このように書くと「参拝」は仏様へのお参りのみを意味するように思われがちですが、これはお寺と神社の両方で使うことができます。「参詣(さんけい)」と言う言葉もありますが、こちらも同様です。ではそれぞれの違いは何かと言いますと、「参拝」はお寺や神社へ行って神仏を拝むことを意味する一方で、「参詣」には拝むと言う意味は含まれず、訪問することを意味しています。
■参拝の仕方
日本にはかつて神仏習合という現象がありましたが、現在でも神社とお寺が混同して捉えられてしまうことがあります。参拝の仕方にも違いがあるのですが、神社もお寺も身近に多い日本の環境では、どっちがどうだったかわからなくなってしまう方も多いですよね。ここでは、一般的な参拝の仕方について、ご紹介します。
●神社へお詣りをする際
1.鳥居をくぐる前にお辞儀をします。
2.入手水舎の水で手を洗います。単純に洗うだけではなく心身を清めるために行うため、「手水をとる」という表現があります。
3.参道を通って神様にお詣りをするためのご神前へ向かいます。
4.お賽銭を賽銭箱に入れます。
5.「二礼二拍手一礼」でお詣りをします。
二礼二拍手一礼とは、2回の深いお辞儀、胸の高さで2回打つ拍手、お祈りのあとの深いお辞儀のことです。
6,鳥居を出るときにご神前に向かってお辞儀をします。
神社には、「本坪鈴(ほんつぼすず)」と呼ばれる鈴があることがあります。それを吊るしている紐は「鈴緒」と呼びます。鈴がある場合には、お賽銭を入れたあとに鈴緒を振って本坪鈴を鳴らしましょう。
●お寺へお参りをする際
1.山門という、お寺の入口へ入る前にお辞儀をします。
2.手水をとります。
3.本堂へ向かいます。
4.お賽銭をそっと賽銭箱に入れます。
5.手は合掌にしてお祈りをしたら、お辞儀をします。
6.山門を出るときに本堂に向かってお辞儀をします。
■手水のとり方
1.右手で柄杓を持ち、水を汲みます。一連の作業で水は汲み直さないので、たっぷり汲みましょう。
2.左手を清めます。
3.柄杓を左手に持ちかえ、右手を清めます。
4.再度右手に持ちかえ、左手に水を取り口をすすぎます。
5.柄杓を手前に傾け、残った水を流しながら柄の部分を清めます。
夜や夕方の遅い時間に行くと、水が止まっていることがあります。正式な方法ではありませんが、その場合には手水をとらずに気持ちを正してから参拝します。
■参拝のマナー
大人になって参拝についてわからないことがあると少し恥ずかしい思いをしてしまうことも…。参拝する際に気をつけたいマナーをご紹介します。
●服装
服装は、あまりカジュアルではないものが好ましいです。正装でなければいけないという決まりはありませんが、きちんと正した身なりで参拝するようにしましょう。帽子は必ず、鳥居や山門を通る前に脱ぎましょう。また、殺生をイメージするような革製品などは避けるようにしましょう。
●一礼をする
神社やお寺に入る前と出たあとは、敬意を表すために会釈をしてからご神前や本堂に向かってお辞儀をしましょう。
●敷居は踏まず、真ん中は歩かない
神社の参道の中央を正中といい、神様が通る道とされています。人混みで難しい場合などを覗き、基本的には正中は歩かないようにしましょう。
また、お寺の山門を通るとき、足元には一段上がった敷居がありますが、これは踏まずにまたいで通るのがマナーです。そしてお寺も神社同様、境内に細い道がある場合には左右どちらかに寄って歩くのが好ましいとされています。
●大きな音を立てない
神社やお寺は神聖な場所です。特にお寺では、お賽銭を入れる際や合掌する際には音を立てないように、参拝することを心がけましょう。
また、さまざまな事情から参拝に訪れる人もいます。私語は慎みましょう。
●ペットは入れない
基本的にペットは神域や境内には入れないのがマナーですが、神社やお寺によっては、抱っこすれば大丈夫なところもあります。ペットと参詣をする予定がある方は、事前に問い合わせてみてください。
■お参りのマナーでは、気持ちが大切
伝統が長い分しきたりも多いため、マナーがいろいろあって難しいものと考えてしまう人もいますが、神社やお寺は誰にでもひらかれた場所です。わからないことがあれば、神社やお寺の方に訪ねてみましょう。
そして、もっとも大切なのは参拝するときの気持ちです。できるだけ邪心を捨てて、清らかな心で参拝できるように努めましょう。