Jintaro’s ordinary days
家族写真(ファミリーフォト)
[ INTERVIEW:01 ]
ご依頼いただきありがとうございました! 今回の撮影では週末に家族皆さんで行われている農作業の様子を撮影させていただきました。 ぜひご依頼いただいた経緯を教えてください!
息子がもうすぐ5歳の誕生日を迎えるにあたって、記念写真を残したいと考えていました。いわゆるショッピングセンターに入っているような撮影スタジオでの撮影も考えたのですが、それだと自分たちがこの瞬間に大事にしている「在り方」や「生き様」が映らないと思っていました。
そんなときに、偶然カメラマンのしょまさんと知り合い、「ラブグラフなら出張撮影ができる」ということを知りました。家からほど近い代々木公園での撮影などのご提案も頂いたのですが、「我が家らしさとはなにか」を考えたときに、毎週末、家族みんなで農作業をするために通っている横浜の有機農場「えんちゃん農場」で撮影をすることでした。
この畑で息子はいつも口に入れている野菜やお米を種から触れ、土とふれ、虫やカナヘビなどの爬虫類、側溝ではホトケドジョウとも出会い、そして農にまつわる素敵な人々と出会うことで人間として大きく成長してきました。その場で撮影することを決め、えんちゃん農場とも調整し、カメラマンのしょまさんにも来ていただいて撮影していただくこととなりました。結果、私達らしさが詰まった写真となって感謝しております。
[ INTERVIEW:02 ]
毎週末えんちゃん農場で農作業をしているとのことですが、どのようなきっかけで始めたのですか? また、えんちゃん農場での活動を通して仁ちゃんにどのようなことを学んで、育ってほしいですか?
息子には、食物アレルギーとアトピー性皮膚炎があります。生後6ヶ月ころから肌を掻きむしり、常に顔や首まわりや手足が血まみれ状態の息子は、夜風にあたると落ち着いて寝てくれました。そのため、私は仕事が終わったあとは夜通し息子を抱い散歩したり、ベビーカーに乗せて4駅ほどの距離を歩くこともありました。やっと寝てくれて布団で寝かせると、まるで背中にスイッチがついてかのように目を覚ましてしまうことの繰り返しで、一日でとれる睡眠は1時間という日も多くありました。
治療方法に関しては、自然療法にこだわる妻と、手っ取り早くステロイドを使えばいいと思っていた夫で対立することもありました。結論から言えば、妻の意見に従うことが正解でした。中でも無農薬栽培など育った自然な食品だと症状が出づらく、できるだけオーガニックのものを家族みんなで食べるようにしていきました。さらに食を極めて行くと野菜の「種(たね)」も人間の手でDNAを操作されたものよりも、古来からある在来種の野菜のほうが、より自然なものだと思うようになりました。そんな中、「僕たち大人たちが効率を求めて古来からの種を絶滅させてしまってはいけない。未来の子どもたちに、選択肢を残してあげたい」と思うようになりました。そんな考えの中で出会ったのが、今回の撮影の場となった横浜の有機農場「えんちゃん農場」でした。懐が深いえんちゃんの理解もあって、有機農法だけでも大変なのにも関わらず、いまでは一緒に在来種の種で様々な野菜を育てています。
都会っ子の息子は、最初は肌も青白く、私の後ろに隠れるようにして消極的にえんちゃん農場に行っていました。しかし、本物の土を初めていじるようになり、土を掘り返すと出てくるミミズや芋虫、虫たちを捕まえる楽しさをしり、さらには勝手に育って大きくなった野菜の美味しさを知り、野性味あふれるトマトなどにかぶりつくようになりました。血まみれだった顔や鮫肌だった背中なども次第によくなりました。そして、何よりもとびっきりの笑顔をみせてくれることが多くなりました。
こうして勉強をする機会や、素晴らしい大人たちや、人々との出会いを作ってくれた息子の食物アレルギーとアトピー性皮膚炎も、いまでは「神様が僕たち家族の与えてくれたギフト」だと思えるようになってきました。これからも息子には、自分自身に与えられた試練や出来事の意味を自分自身で考え、乗り越え、感じた感謝を社会にPay Forwardしていける心の持ち主になってもらいたいと思います。
[ INTERVIEW:03 ]
今回の撮影はいかがでしたか?
今回の写真をご覧いただいてお分かりの通り、みんな心が丸裸です。身も心もスッピンです。何も飾っていません。実はフライングして、私のFacebookで一枚だけシェアしたのですが、「素敵」「こんな家族を築きたかった」「らしさが出ている」と大評判でした。
中でも特に好きな写真は、撮影日当日に知り合った別の畑の地主さんの畑でとれた天然のザクロを頂き、あまりの酸っぱさと渋さで顔が歪む息子の顔です(笑)。その一瞬を写真におさめてくれて良かったです。
息子が成長し、高校生や大学生になったとき、彼が子を授かったときにも振り返ることができる素晴らしい記録が出来たと思います。カメラマンのしょまさんには、また節目のタイミングで撮影をしてもらいたいと思います。
あ、そうそう。我々夫婦は、色々あって結婚式が出来ていないので、それを埋めることをまた企画したいですね。これからも宜しくお願いします。
Date: 2020/10