「見返りのない愛が世界を変える」Best Fun賞受賞 永田美優 インタビュー

2020.05.27更新

年間で輝かしい活躍・貢献をされたカメラマンを表彰する「Lovegraphers AWARD」において、Best Fun賞を受賞された永田美優(miyucho)さん。彼女がカメラマンを志すきっかけとなったビジョンについて、お話を伺いました。

「見返りのない愛が世界を変える」Best Fun賞受賞 永田美優 インタビュー
年間で優れた功績を収めたカメラマンを称え、表彰するLovegraphers AWARD。
本記事では、Lovegraphers AWARD2019においてBest Fun賞(※何事も楽しむ心を忘れず、周りの人までも楽しませる力を称えた賞のこと)を受賞された永田美優(miyucho)さんをご紹介します。
東京を中心に活動し、ラブグラフのカメラマン育成プログラムLGC(「LoveGrapher(※) Creation」の略称)でチーフトレーナーも務める彼女から、どうしてラブグラファーになったのか、また普段どのようなことを意識されて活動しているのか、といったことについてお話を伺いました。

※ラブグラフでは、カメラマンのことをLovegrapher(ラブグラファー)と呼びます。

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海辺の堤防に座る女性

■ 「見返りのない愛を届けたい」〜ラブグラフとの出会い

——改めて、Best Fun賞の受賞おめでとうございます。永田さんがラブグラフを知ったきっかけを教えてください!

永田さん:ラブグラフを知ったのは、わたしが高校生の頃でした。創業者のこまげさんがご自身でカップルフォトを撮っている時から知っていましたが、「面白いなあ」程度にしか思っていませんでした。それから月日が経って、わたしの知人のとあるカップルをこまげさんが撮影していたのを知って、初対面なのに、2人のいいところをちゃんと引き出して撮影している彼に驚いたんです。
大学では心理学を専攻していたのですが、その実習の一環でこまげさんを取材したことがあり、彼の口から語られたビジョンや、目指したい世界観を聞いて「これが自分の探していたものだ」と直感で気づきました。

——永田さんが探していたものとは、具体的にどういうものでしょうか?

永田さん:中学2年生の頃、家庭内の仲が悪くなったことや、姉が体調不良になってしまったり、他にも所属していた部の環境も悪くなったりと、立て続けに不幸なことが起こりました。それまで自分が幸せだったからこそ、余計に人はこんなに簡単に不幸になれるのかと思ったんです。

ただ、それでも母はわたしにたくさんの愛情を注いでくれました。これだけ人生で悲しいことがあっても、愛はなくならないんだなと思えたんです。逆に、その愛があったからこそ、わたしはこれまで生きてこれたのだと思います。
当時からうまく言語化できたわけではないのですが、親が子に向けるような、「見返りの求めない愛を人に届けたい」と、漠然と思うようになりました。当時のわたしには何もできなかったけれど、そういう見返りのない愛の連鎖が世界を変えるんじゃないか、と考えるようになりました。
赤ちゃんと一緒にピースをする女性
母と撮影した一枚
——その経験がつながって、ラブグラファーになろうと思ったのですね。

永田さん:はい、実はわたしは、元からカメラマンだったわけではありませんでした。カメラすら持っていなかったので……。
「どんな技術を身につけたら上達するのか」や「何が自分に足りていないのか」の把握ができておらず、採用されるまではずいぶん時間がかかりましたね……。

——なかなかデビューできないというのはつらくなかったですか?

永田さん:今思い返すと壮絶でしたね……。
就職活動もしていましたし、アルバイトも掛け持ちしていたので、とにかく時間がありませんでした。寝る間も惜しんで勉強していたので、物理的にも精神的にも休めない日々が続いていたのが一番キツかったです。
ラブグラファーにはもちろんなりたかったのですが、とはいえそこがゴールではないこともわかっていたので、苦しい時は「何のためにやっているのか?」を思い起こして踏ん張るようにしていました。
今思えば、「なれるかどうかわからない」という不安を無視して「なろう」と思い切ったことが大きかったのかなと思いますね。
手でハートのポーズをとる女性たち
デビュー当初、ラブグラフのオフィスにて仲間たちとの一枚

■ 「自分なりで考えない」〜相手のことを思い続ける撮影


——先ほどの「見返りのない愛」についてですが、それを感じたエピソードはありますか?

永田さん:わたしが出会ったゲストはどなたさまも大切ですが、中でもわたしに3回依頼をしてくださったゲストと、プライベートでディズニーランドに遊びに行くようになった時に、それを強く感じましたね。
そのゲストを初めて撮影したのは、お腹に赤ちゃんがいるときのマタニティフォトでした。その後そのお子さんが生まれて3人の撮影、3回目は2人目の生まれた4人での撮影でした。
人生に寄り添うように、彼らの幸せな瞬間をカタチにしていただけなのに、その結果、そのゲストからもわたしに愛を届けてくれたんです。
今までカメラマンとして活動してきた中でも特に「これがわたしの求めていた見返りのない愛の連鎖だ」と気づかされましたね。
ひまわりと共に高い高いをされる子ども
月間最優秀賞もいただいた思い出の一枚
——素敵なエピソードですね……!

永田さん:本当にありがたいことですね。
ただ、そこで現状に甘んじて「これならわたしにもテイクが返ってくる」と思うようになってはいけないと思っています。本当にゲストが喜ぶものは何か?を考えるためには「自分なり」から離れなくてはいけないんですよね。
もちろん何組も撮影すれば、「これは喜ばれる」というのも見つかってきます。
でも、幸せのあり方は本当に多種多様ですから、成功体験に引っ張られず、「自分なりの」ホスピタリティと自分を切り離して、ゲストと向き合うようにしています。
シンデレラ城と写る家族
プライベートでゲストと遊びに行った一枚

■ 「ラブグラファーが写真を撮る仕事じゃなかったとしても——」〜デビューから変わらない思い

——今回の受賞を踏まえて、何か変化はありましたか?

永田さん:これまでは自分のやりたいことをやって、結果的にラブグラフにつながればいいかなと思っていたのですが、これからは「どうラブグラフの目指す世界に貢献できるか?」をより考えていきたいですね。
LGCでの育成や、またBest Fun賞を受賞したという立場の変化から、ゲスト以外にも考えることは増えてきています。

もちろん、ゲストの幸せをカタチにすることはこれまでと変わらないことなのですし、曲がりなりにも着実に歩んでこれたことには胸を張りたいですが、それでもまだまだ至らない点はあります。
例えば、わたしのコンプレックスの一つに、「写真が好き」から、カメラを始めていないことがあります。もちろん、撮影の技術を向上させることに余念はありません。でも、ラブグラフが届けるものは、何も写真だけではないとも考えています。
もし仮に、ラブグラファーが写真を撮る仕事じゃなかったとしても、わたしはラブグラファーになると思います。本質はきっとそこだけではなくて、撮影の腕だけじゃない、その先にある、「見返りのない愛」とは何か?を常に問い続け、持てる力全てを用いて、それを届けていきたいです。


——ありがとうございます。最後に、未来のラブグラファーへメッセージをお願いします!

永田さん:写真が下手という悩みや、ラブグラファーの人格と自身を照らし合わせてへこんでしまうこともあると思うんですが、「誰か」になる必要なんてないと思っています。わたしがそうだったように。
それを不安がる必要はなくて、自分の価値観を大事にして、ラブグラファーを目指してほしいと思います。そういう悩みや不安を感じることができる人は、心がやさしい証拠ですから。
まずは「なろう」と決めて、それから考えてみてもいいんじゃないかな?と思います。
いつかラブグラフでみなさんとお会いできることを、楽しみにしています。

——永田さん、本日はありがとうございました!