■お宮参りとは
お宮参りとは、赤ちゃんの誕生を祝うとともにこれからの健やかな成長を祈る、日本の伝統的な行事です。
生後1か月を目安に神社に参拝します。正式には男の子は生後31日目、女の子は生後32日目とされているようですがこれらの数字にとらわれる必要はなく、親族の都合や、家族がゆっくりと落ち着いて大切な時間を過ごせる日がより好ましいです。
特に真夏は赤ちゃんや産後直後の母親にも大きな負担がかかるため、日にちよりも天候を考慮して時期をずらした方がいいでしょう。
●お参りする神社
参拝する神社は、赤ちゃんが生まれた土地の「産土神様(うぶすなかみさま)」がいらっしゃる神社を選ぶのが一般的です。産土神様とは赤ちゃんが生まれた土地の守り神様のことで、引越しなどでその土地を離れても一生を通じて守護してくれるとされています。
また、守り神様の名前が産土神様であることにちなんで、お宮参りのことを産土参りと呼ぶこともあります。
■お宮参りに着る着物とは
お宮参りは赤ちゃんが主役のフォーマルな行事なので、赤ちゃんは白羽二重の内着かベビードレス、大人はこの格に合わせた正装で付き添います。正式には、もっとも格が高い和装がふさわしいとされています。
さらにお宮参りでは、赤ちゃんと、赤ちゃんを抱っこしている人が一緒に羽織る着物があり、これを「祝い着」といいます。少し特殊な仕立てになっている子どもサイズの着物です。呼び方にはいくつか種類があり、「祝い着」のほかに「掛け着」や「産着」とも呼ばれることがあります。
●祝い着は男女で柄が異なる
祝い着は赤ちゃんの性別によって色や柄が異なります。
男の子の祝い着は、たくましく元気な子に育ってほしいという願いを込めて、力強い黒地の生地に兜や鷹の模様をあしらったものが多いです。
一方で女の子の祝い着は、花のように美しく清らかに育ってほしいという願いを込めて、華やかな赤やピンク地に桜や牡丹、菊をあしらったものが主流です。
■祝い着の着せ方
正装を着た大人は内着かベビードレスを着た赤ちゃんを抱っこします。次に、抱っこしている大人の肩に祝い着の紐を回し、背中で結びます。最後に祝い着の上から赤ちゃんによだれかけを付け、大黒帽子と呼ばれる帽子かフード帽を日差しよけに被せます。
■お宮参りの着物レンタルができる場所と費用
着物を貸し出すサービスを行なっている場所でレンタルすることも可能です。祝い着は仕立て直せば七五三にも着せることができるので一度購入すれば将来また着る機会がありますが、保管する場所がない場合や、個人でちゃんとお手入れができるか心配という方にはレンタルがおすすめなのです。
●お宮参り着物をレンタルする場所
呉服屋さんが一般的です。直接近所の呉服屋さんにレンタルもやっているか尋ねたり、ネットで情報を集めるといいでしょう。
ネットで探すと、通販で貸し出しを行なっている呉服屋さんもたくさん出てきます。必要な祝い着が全てセットになっているので、購入と比較すると、費用面だけでなく時間的にも楽になります。
その他にも、写真スタジオでレンタルの衣装を取り扱っていることがあります。撮影のためだけに貸し出しているところと、何日が持ち出せるところがありますので、神社に着ていくために探している方は事前にスタジオへ確認をしてください。
●お宮参りの着物レンタルにかかる費用
借りる内容にもよりますが、祝い着のみだと数千円から借りることができます。セットでも安いものだと一万円以内からありますが、もう少し予算をあげて質や柄、各家族の事情にフレキシブルに対応してくれるところもあります。
■祝い着の家紋について
全ての着物は、家紋が入っているものの方が格が高いとされています。格にも段階があり、1つのものから5つのものへと順番に格、そして値段が上がるのが一般的です。
祝い着に入れる家紋の有無は赤ちゃんの性別によって異なり、男の子の場合は家紋を入れることが多く、女の子の場合は基本的に入れません。しかし最近では男の子の場合にも家紋を入れることは少なくなってきており、レンタルで家紋のない着物を着ていても特に違和感を感じられることはありません。
男の子で祝い着をレンタルして家紋を入れたい場合には、貼り紋のサービスを行なっているところもあります。
■時代とともに伝統行事も便利に変化
昔から呉服屋さんによる着物のレンタルは一般的に行われていたサービスですが、細やかな家紋への対応、ネットでの急な注文なども可能になっていることで年々利便性は高まっています。
今は時代が大きく変化していることを受け止めて、無理のない範囲で伝統に寄り添いながら儀式に参加していくのが、理想的ではないでしょうか。